歯があれば食べられるは勘違い

  • 2024年4月26日

歯は食べ物をかみ砕き、細かくするためには重要な役割を果たしていますが、

それと同等に大事なのは舌です。

食べ物をかんで飲み込むまでの工程は意外と複雑になっています。

食べ物を口に入れると、甘い、しょっぱいなどの味覚から、

食べ物がかたいか、やわらかい、熱い、冷たいなどさまざまな情報を口が感知します。

そして、食べ物の状態を把握し、しっかりと噛まないといけないものがあるときには、

舌が食べ物を迎えに行って奥歯の上にのせます。

そこで、舌や唇、あごなどを巧みに使い、上下の奥歯で噛みます。

十分に噛み砕けたら、食べ物を舌の上に1つにまとめて、舌を使ってのどに送り込みます。

このとき、舌の筋肉と繋がっている喉頭蓋(こうとうがい)という、

気道と食道を切り替える弁が、気道を塞ぎ、食道が開いて、食べ物が食道に送り込まれます。

この一連の動きの中で、重要な鍵を握るのが、舌です。

舌は歯と同様に重要な役割を果たしています。

この舌のパワーや、巧みな動きが大事ですが、年齢とともに体も衰えるように、舌も衰えてきます。

舌が衰えると、食べ物が気道の方に入って肺炎を起こす誤えん性肺炎になったり、

食べ物が気道の入り口に詰まって窒息を起こしたりするおそれがあります。

日常生活の中で以下のことが増えてきたら舌や口の衰えが始まっています。

☑️誤えんする、むせる

☑️最近食べるのが遅くなった

☑️話が聞き取りづらいと言われるようになった

☑️舌や頬を噛む

☑️食べこぼす

☑️ブクブクうがいをすると食べかすがよく出る

☑️舌が汚れる

特に、誤えんする、むせるというのは、若い人でも急いで食事をしたときに起こり得ますが、

これが頻繁に増えてきたら、注意が必要です。

いずれにしても、これらの症状は、舌を始め、口腔機能が衰え始めているサインと言えます。

最近では、この口腔機能が衰え始めたことをオーラルフレイルと呼びます。

8020運動の推進で、80歳で20本の歯を持つ人は、50%以上になり、

2人に1人がこの目標を達成しています。

しかし、一方で歯はあっても、うまく食べられないという人がいるのが現状です。

歯だけではなく、舌のパワーや巧みな動きなどの機能も大事だということです。

東京大学の調査ではオーラルフレイルの人は、そうでない人に比べ、

4年後の死亡リスクが2.09倍、要介護リスクが2.35倍になっています。

口の機能低下に早く気づくことが大切になります。

食事をおいしくいただくためにも、この機会に自分の口の機能は大丈夫か?

と確認してもらえればと思います。